二天一流棒術 ※参照『宮本武蔵 独行道 二天一流勢法』
刀剣がまだ世に現われなかった時代、棒は刀にかわる武器として人間が初めに手にしたものは、おそらく先ず棒であったと考えられる。武器発達の根源をなすものであると思う。 棒術はその名の如く棒を武器としての術である。手当たり次第の棒、槍、薙刀等その先端が折れ、又切落された時、その柄を持ってそのまま武器に変らぬ武器として威力を発揮できるよう鍛錬稽古した武術である。二天一流の棒術ではその棒の長さには規定はない。然し自分の身長に合せるとか、自分の両腕をひろげた長さが最適であるとされている。
棒の構
一、中段之構 一、上段之構 一、下段之構 一、左脇之構 一、右脇之構
上の五種の構がある。
二天一流の棒術といわれる棒術は塩田浜之助の棒術を浜之助がその総てを武蔵に献じて、師事を乞い己れの棒術の未熟を嘆くを聞き、さにあらずと武蔵が工夫改良を加えたのである。それが二天一流の棒術として今日に伝わっているのである。
(二天記)
太刀合棒勢法
太刀と棒の勢法である打太刀は太刀を持ち仕太刀は棒を持つ。
一、陰の引棒 二、陽の引棒 三、巻棒さげ持 四、もじき棒さげ持 五、物見棒つき持 六、笠はずし棒さげ持 七、陰のからみ棒 八、陽のからみ棒 九、上段の棒 十、よこ棒 十一、下段の棒 十二、つき棒 十三、かやし棒 (以上十三本)
棒合棒次第のこと
一、おこし棒 二、おさえ棒 三、うけ棒 四、いわこみ棒 五、左棒 六、右棒 七、とみ合棒 (以上七本)