揆奮館流棒術 『徳嶺の棍』 44〜46及び分解形5番の4〜6の解説         [2003/07/10更新]


   ※前方の方角を南と想定して以下説明する。

 1 半身後屈立ちで中段縦打ちの後、棒は水平のまま動かさず、左手を棒の中央に滑らせて移す。

                      

 2 右手を離し、右足を後方(北)に一歩退いて半身後屈立ちになりながら、棒先(南向き)を下に回し、西方に見ると時計と逆回りに一回転させる。このとき、棒を縦に回転させるので、棒先を床に当てないよう左の握り手は水平に前から後方に移動させる。

 ※参考例 1(連写画像)

 3 一回転して棒先が前方(南)を向いて水平になったところで、棒の下側から右手を添えて、棒を右手に持ち替え、左足を一歩後方(北)に退きながら、半身後屈立ちになる。右手に持ち替えた棒は、腕を伸ばして、棒先(北向き)を上に向け大きく上方に振り上げ、東方に見ると時計と同じ向きに棒先を下に回して一回転半させる。このとき、棒先は床に当てないよう注意する。

 ※参考例 2(連写画像)

 4 一回転半して水平になった棒の下から左手を添え、棒を左手に持ち替え、棒先を上方に大きく振り上げ、棒先を下向きに縦回ししながら、右足を一歩後方(北)に退いて半身後屈立ちになる。このとき、棒先は、北向き、上向き、南向き、下向き、北向き、上向き、南向きと縦に一回転半する。西方に見ると時計の逆回りである。

 

                           

 5 右手を棒の下から添えて、棒を右手に持ち替え、右足を一歩前方(南)に進みながら、棒先を上方に大きく振り上げてから、下向きに縦回しして、半身後屈立ちになる。このとき、棒先は北、上、南、下、北、上、南と縦に一回転半する。東方に見ると時計回りと同じである。

                           

 6 左手を棒の下から添えて、棒を左手に持ち替え、左足を一歩前方(南)に進みながら、棒先を上方に大きく振り上げてから、下向きに縦回しして、半身後屈立ちになる。このとき、棒は西方に見ると縦に一回半する。

 ※参考例 3(連写画像)

 7 右手を棒の下から添えて、棒を右手に持ち替え、右足を一歩前に、半身前屈立ちで強く踏み込む。この踏み込みは音がする床であれば大きな音で威嚇牽制するようにできるだけ強く踏み込む。この踏み込みをしながら、棒は棒先(北向き)を前方(南)の右側から左側へ横回しをする。

 ※参考例 4(連写画像)

                           

 8 棒は横回しをしながら頭上に高く上げ、右足は後方(北)に一歩退いて半身後屈立ちになる。

 ※参考例 5(連写画像)

 9  棒が半回転して、棒先が西を向いて頭上で水平になったとき、頭上で左手に持ち替え、左足一歩退いて半身後屈立ちになる。

10  棒が半回転したら、そのまま(またはすぐさま右足一歩踏み込んで)半身前屈立ちで、気合を入れて上段縦面打ちをする。

  ※参考例 6(連写画像)

                           

11 上段打ちの後、すぐさま棒を中段にひいて、半身後屈立ちになる。これは、想定する次の攻防が即座にできるようにするための、残心である。

 

[注意点] 

1から10までの動作は途中で止まることなく流れるように、迅速に、大きく行う。

この部分は、相手へ威嚇牽制を想定しているので、形(型)全体からみたら目立つことを心がけて動く部分である。

頭上での水平回転は、下の防備が無くなるので、必要最小限にして、すぐに想定する相手の攻撃に移る。

縦の回転は、体を正面に向けず、半身で行う。

棒はほとんど片手で取り回すので、落下させないよう注意する。

棒の持ち替えを迅速に円滑に行うため、握り手でない手は下に下ろさないで、次の持ち替えに備える。

攻撃のための棒は、槍や薙刀などの刃部が棒の両先端についているように意識して使う。