揆奮館流棒術「基本20本」(一人稽古の場合) [2003/05/04更新]
※実技指導を最低1回は受けたことのある人の忘備録としての要点解説です。
全部、始めは、左足を一歩前に出して、棒を中段に構える。
(1本目)面への攻撃@ ※まず相手を威嚇牽制して、相手より先に攻撃するもの
である。
棒の中心を持ち、頭上で前棒先を右から左に水平に旋回させて、間をおかず、すか
さず、右足一歩踏み込んで、棒をできるだけ長く持って、半身前屈立ち上段縦面打
ち。
← ← ←
棒を頭上で前棒先を左から右へ水平に旋回させて、左足一歩踏み込んで、半身前屈
立ち上段縦面打ち。
同様、下がりながら、上段縦面打ち。(元の位置まで戻る。)
※半身で前のめりになって攻撃する立ち方を、半身前屈立ちとして説明した。この
立ち方は、相手の攻撃を受けにくくして、かつ、できるだけ遠くの間合いから相手
を攻撃するためのものである。
(2本目)面への攻撃A ※相手にさとられないよう棒を長く持ちかえながら遠間
を攻撃するものである。
右足一歩進んで、大上段に棒を振り上げながら長く持ち、左足一歩踏み込んで、半
身前屈立ち上段縦面打ち。
← ←
体を変えて、逆を行う。
同様、下がりながら行う。(元の位置まで戻る。)
(3本目)面への攻撃B ※相手の攻撃を流し受けしてすかさず攻撃する、後の先
の攻撃である。
棒を振りかぶって、縦回しで、想定する相手の上段打ちを受け流して、右足一歩踏
み込んで、半身前屈立ち上段縦面打ち。
← ← ←
逆を行う。
同様、下がりながら行う。(元の位置まで戻る。)
(4本目)面への攻撃C ※わざと相手の攻撃を誘う後の先の攻撃である。
左手で棒を上から握り、相手が攻撃するようにわざと左小手を前に上げてすきがあ
るように構える。
相手の攻撃を想定して、左小手を引き、同時に右手で棒を縦廻しして上から叩きつ
けるように右足一歩進んで左半身前屈立ち上段縦面打ち。
←
逆を行う。
同様、下がりながら行う。(元の位置まで戻る。)
(5本目)横面への攻撃@ ※4本目を側面攻撃にしたもの。
左手で棒を上から握り、左小手を前に上げて構え、すきを作り、右足一歩進んで左
半身前屈立ち上段横面打ち。
← ←
逆を行う。
同様、下がりながら行う。(元の位置まで戻る。)
(6本目)横面への攻撃A ※進みながらの3本連続攻撃。
八相(または不動)の構えから、右足一歩進み、半身前屈立ちで上段横面打ち。続けて、握り手を
そのまま、左足一歩進み、前屈立ちで棒を頭上に振りかぶって上段横面打ち。続け
て、握り手をそのまま、右足一歩進み、半身前屈立ちで棒を頭上に振りかぶって上
段横面打ち。
← ← ←
体を変えて、逆を行う。
同様、下がりながら行う。(元の位置まで戻る。)
(7本目)横面への攻撃B ※棒を杖のように用いる攻撃。
右足一歩進み、半身前屈立ち上段横面打ち。左手で棒を斜め後ろ下に引き、同時に
右手は棒先にずらして、左足一歩進んで、半身前屈立ち上段横面打ち。
← ← ←
逆を行う。
同様、下がりながら行う。(元の位置まで戻る。)
(8本目)胴への攻撃@ ※その場での3本連続攻撃。
八相(または不動)の構えから、右足一歩踏み込んで、腰を入れて、半身前屈立ちで中段胴横打ち。
そのままの位置で、続けて、前屈立ちで、棒を頭上に振りかぶって中段胴横打ち。
そのままの位置で、続けて、半身前屈立ちで、棒を頭上に振りかぶって中段胴横打
ち。
← ← ← ← ←
逆を行う。
同様、下がりながら行う。(元の位置まで戻る。)
(9本目)胴への攻撃A ※脇構えからの攻撃。
棒を縦に反転させて、水平に長く持ちかえ、棒を水平のまま、右足一歩踏み込んで、
腰を入れて、半身前屈立ちで水平に中段胴横打ち。
← ← ← ←
逆を行う。
← ←
同様、下がりながら行う。(元の位置まで戻る。)
(10本目)胴への攻撃B ※棒を杖のように用いる攻撃。
右足一歩進み、半身前屈立ち中段胴横打ち。左手で棒を水平に後ろに引き、同時に
右手は棒先にずらして、左足一歩進んで、半身前屈立ち中段胴横打ち。
← ← ←
逆を行う。
同様、下がりながら行う。(元の位置まで戻る。)
(11本目)足への攻撃@ ※2本目の攻撃のようにして遠い間合いの下段を攻撃
する。
右足一歩進み、棒を大上段に振り上げながら長く持ち、左足一歩踏み込んで、想定
する相手の後ろ足(右足)を半身前屈立ち下段袈裟打ち。
← ←
体を変えて、逆を行う。
← ←
同様、下がりながら行う。(元の位置まで戻る。)
(12本目)足への攻撃A ※近い間合いの下段攻撃。
八相の構え(または、棒を垂直に構える不動の構え)から、右足一歩踏み込んで、
想定する相手の前足(左足)を半身前屈立ち下段袈裟打ち。
←
逆を行う。
←
同様、下がりながら行う。(元の位置まで戻る。)
(13本目)足への攻撃B ※棒を杖のように用いる攻撃。
右足一歩進み、半身前屈立ち下段打ち。左手で棒を斜め後ろ上に引き、同時に右手
は棒先にずらして、左足一歩進んで、半身前屈立ち下段打ち。
←
逆を行う。
←
同様、下がりながら行う。(元の位置まで戻る。)
(14本目)足と横面への連続攻撃 ※下段上段への2本連続攻撃
右足を左足に引きつけ、結び立ちから、左足一歩踏み込んで、半身前屈立ち下段打
ち。すぐに、右足を左足に引きつけ、左握り手を軸にして、半身結び立ちで上段回
し打ち。
← ←
同様、前進して行う。
体を変えて、同様に前進して行う。
同様、下がりながら行う。(元の位置まで戻る。)
(15本目)なぎによる攻撃 ※棒を薙刀のように用いる攻撃。
八相の構え(または、不動の構え)から、右足一歩進んで、半身前屈立ちで下段を
なぎ払う。
← ←
逆を行う。
同様、下がりながら行う。(元の位置まで戻る。)
(16本目)上げ打ちによる攻撃@ ※体捌きをしながら、下から上方への攻撃。
右に体さばきして、きざみ前屈立ちで、想定する相手の右側からの上げ打ち。
※左手の棒は右肩にくる場合と左肩にくる場合の両方を行う。
← ← ←
左に体さばきして、同様に、左側からの上げうち。
一歩進んで体を変え、逆を行う。
同様、下がりながら行う。(元の位置まで戻る。)
(17本目)上げ打ちによる攻撃A ※4本目を下から上方への攻撃にしたもの。
左手で棒を上から握り、左小手を前に上げて構え、すきを作り、右足一歩進んで、
半身前屈立ち掬い上げ打ち。
← ←
逆を行う。
同様、下がりながら行う。(元の位置まで戻る。)
(18本目)刺しによる攻撃 ※棒を短槍のように用いる攻撃。
右足一歩進み、交差立ちで、中段刺し。すぐに棒を抜く。
続けて、前屈立ちで、中段刺し。すぐに棒を抜く。
← ← ←
一歩進んで、体を変え、逆を行う。
後ろに向きを変えて、同様に上段刺しを行う。(元の位置まで戻り、前に向きを
変える。)
※応用練習としては、上中下段への連続攻撃等をする。
(19本目)突きによる攻撃@ ※棒を銃剣のように用いる攻撃。
棒を後方にひかずに構えた位置から、左足一歩飛び込み半身前屈立ちで、中段突き。
すぐに、棒をひき抜く。
← ←
同様に、中段突きをする。
一歩進んで、体を変え、逆を行う。
後ろに向きを変えて、同様に上段突きを行う。(元の位置まで戻り、前に向きを変
える。)
(20本目)突きによる攻撃A ※反動を利用しての、2本連続攻撃。
棒を後ろにひいて、左ひざを上げて踏み込む飛び込み前屈立ちで、中段(または上段)突き。
すぐに、棒をひき抜く。
連続して、同様に前進して行う。
← ← ←
一歩進んで、体を変え、逆を行う。
後ろに向きを変えて、同様に上段(または中段)突きを行う。(元の位置まで戻り、前に向きを変え
る。)
※揆奮館では、前の握り手を固定せず、棒をすべらせて目標を定めるために使う突き
を「刺し」と呼び、前の握り手も後ろの握り手も棒を握りしめて突く突きを「突き」
と呼んで区別している。使用法としては、棒を銃剣道や槍術と同様に用いる。
(注意事項)
※上記の基本は、稽古をする場所や時間に応じて、移動数を増減して行う。(攻撃部位は、
咽喉・水月・こめかみ・目などピンポイントを想定し漠然とした曖昧な攻撃はしない。)
※稽古は、臨機応変、創意工夫を常に心がける。(基本を確実に修得したら、定型に固
執せず、新たな発想を心がけ、技を発展させる。)
※基本的に、攻撃時の棒はできるだけ長くして攻撃する。(相手からの攻撃は受けにくく
して、かつ、自分は遠い間合いからでも瞬時に攻撃できるように稽古する。)
※二人稽古の場合は、相手方(後手)は、受け及び受けてからの攻撃をする。そして、
さらに、稽古内容を約束組棒、自由組棒へと発展させていくこと。
※攻防は、受即攻、攻防一体、気剣(棒)体の一致、有構無構を常に心がける。
※基本的には相手の目を見て攻撃するが、突きや刺しなどで特にピンポイントの標的を
攻撃をする場合は、銃撃や弓撃と同様に正確に攻撃目標を注視する。この注視は瞬時の
間のみに行うが、相手には、注視が気づかれたとしても、フェイント(フェイク)として、
わざと注視したのか、実際に攻撃するために注視したのか区別がつかないようにする。
(例えば、同じパターンの攻撃を繰り返し、突然、違うパターンの攻撃をするというよ
うな方法を使う。)逆に相手がフェイントの目的で目線を使うような場合は、相手の目を
見ても、その目線にだまされないよう相手の動きを全体で瞬時につかみ、先の先を読ん
で攻撃することが必要である。