揆奮館流棒術 『徳嶺の棍』の分解形 [2003/03/15更新]
※実技指導を最低1回は受けたことのある人の忘備録としての要点解説です。
※1、3、5の奇数番は右足を前に構えて始める。2、4の偶数番は左足を前に構えて始
める。
※それぞれ最後の攻撃時の極めと同時に気合を入れる。
[一番(初段の形)]
1 右足一歩前に出て、中段の左半身の構え。
2 そのままの位置で、顔は正面を向き、棒は下先を斜め前に、上先を斜め後ろにして、
顔正面に縦一文字になるようにして、半身後屈立ちで縦受け。(この時、棒は三等分に
持つ。)
3 そのままの位置で、腰を入れて中段縦打ち。
4 左足一歩進んで交差立ちで、中段刺し。すぐに抜く。
5 右足一歩進んで前屈立ちで、中段刺し。半身後屈立ちになりながら腰も戻して棒を
抜く。
6 棒先を下方向縦に半回転しながら棒を長く持ち、左足一歩前に少し飛び込みながら、
半身前屈立ちで上段咽喉突き。
7 棒をひいて長く持ち、左足一歩下がりながら、上段側面横打ち。
8 右足一歩下がりながら、中段胴横打ち。
9 左足一歩下がりながら(または、左足一歩下がり、すかさず、右足一歩踏み込んで)、
上段側面横打ち。
10 棒を縦回しにして、前に直る。
[二番(二段の形)]
1 左足一歩前に出て、中段の右半身の構え。
2 棒先を後ろに縦反転し、握りを持ちかえて、棒を水平に構え、そのままの位置で半身
後屈立ち中段縦受け。
3 腰を入れて前屈立ちで下段足甲刺し、すぐに抜く。
4 半身後屈立ちで右握り手部分を軸に左手を回して、上段回し払い受け。
5 前屈立ちで上段顔面刺し。すぐに抜く。
6 上段受けをしたまま左足左斜め後ろ方向に一歩下がり交差立ち。さらに右足一歩下
がって、上段跳ね上げ受け。
7 右斜め前方に右足、左足、右足と三歩進んで、上段跳ね上げ受け。(腰は、6の斜め
後ろに下がり、7の前斜めに進んで、棒を跳ね上げるまでは、少し落としたまま移動し、
体全体で跳ね上げて、元に戻す。)
8 すぐに左足一歩進んで交差立ちで、中段横胴打ち。
9 前に左足一足長進んで、八相の構えから右足一歩進んで、中段縦打ち。
10 左膝をついて、二回連続中段横胴打ち。
11 手の握りを持ちかえて左足前に一歩進んで、縦受け。
12 矢車回し(中段縦打ち、上段揚げ打ち、中段縦打ち)。
13 左足一歩前に飛び込み前屈立ちで中段突き。
14 棒を縦半回転して、右足一歩前に飛び込み半身前屈立ちで上段突き。(突きの時は
棒を長くする。)
15 棒を縦半回転しながら右足一歩下がり、棒を縦にして右腰上に戻す。
16 そのまま元の位置に下がる。
[三番(三段の形)]
1 右足一歩前に、中段の左半身の構え。
2 そのまま中段縦受け。
3 矢車回し(連続して、中段縦打ち、上段揚げ打ち、中段縦打ち)。
4 右足一歩踏み込んで、中段突き。
5 右足一歩下がりながら、そのまま八相の構え(または、不動の構え)になり、右足一歩
進んで上段縦打ち。すぐに中段に棒をひいて、棒を水平にする。
6 その場で、体を変えて後ろ方向に、中段突き。
7 その場で、体を変えて、前方に、中段突き。
8 左足一歩前に進んで、中段縦受け(または、下段左回し受け)。
9 右足一歩進んで、下段払い縦受け(または、下段右回し受け)。
10 すぐに、右足少し踏み込んで、右の握り手部分を軸にして、上段回し咽喉打ち突き。
※以下、直線的な普通の突きに対し、打ちをしながら同時に突く曲線的な突きを「打ち
突き」として説明した。
11 棒を少し短くして、右足一歩下がりながら、棒先を下ろし縦回しして八相の構え(ま
たは、不動の構え)になる。(棒を回す時、先を床にあてないように右の握り手は下げな
いようにする。)
12 右足一歩前に出て、上段顎掬い上げ打ち(または、下段からの咽喉打ち突き)。
13 棒先を下に縦回しして右足一歩下がり、すぐに右足一歩踏み込んで、上段縦面打ち。
棒をそのまま中段にひき、すぐさま右足を少し踏み込んで、中段突き。
14 棒を縦に半回転しながら、左足一歩踏み込んで半身前屈立ち上段突き。ひき抜く。
15 棒を右腰上に戻し、そのまま元の位置に下がる。
[四番(四段の形)]
1 左足一歩前に出て、中段の右半身の構え。
2 棒先を後ろに反転して、手の握りを持ちかえて、棒を水平にして構え、左足一歩下
がって、半身後屈立ちで下段払い縦受け。
3 腰は少し落としたまま、左足一歩前に出て、牽制しながら、上から中段押さえ受けの
構え。
4 右足一歩前に出て、牽制しながら、上から中段押さえ受けの構え。
5 右の握り手を軸にして中段回し払い受けをして、右足一歩下がりながら交差立ちで、
瞬間、棒を前に出してから抜く。
6 右の握り手を軸にして中段回し払い受けをして、左足一歩下がりながら半身後屈立
ちで、瞬間、棒を前に出してから抜く。
7 左足一歩進んで交差立ちで、中段刺し。(ここまで、腰を少し落としたまま移動する。)
8 右足一歩踏み込んで、半身前屈立ちで上段突き。棒を引き抜く。
9 後ろを向いて、想定する相手の下段攻撃を右足を少し上げて瞬間に避け、足をおろす
のと同時に中段縦受けをして、さらに右足一歩踏み込んで上段面打ち。
10 腰から先に回して左足を一歩下げ、半身後屈立ちになりながら、回転中段水平打ち。
11 左膝をついて、棒を振りかぶって、二回連続中段胴横打ち。
12 右前足はそのままにして、すぐに立ち上がり、半身後屈立ちで棒の下段を想定する
相手の足に引っ掛けて払う縦受け(または足打ち)。
13 すぐに、その場で、右の握り手を軸にして、上段回し払い受け。
14 すかさず、続けて右足を少し踏み込んで、半身前屈立ち上段咽喉突き。
15 左足一歩前に出ながら棒を半回転縦回しして、半身前屈立ち上段突き。
16 棒をすぐに中段に引き抜いて戻し、そのまま元の位置に下がる。
[五番(五段の形)]
1 右足一歩前に出て、中段の左半身の構え。
2 そのまま半身後屈立ちで、縦受け。
3 矢車回し(連続して、中段縦打ち、上段揚げ打ち、中段縦打ち)。
4 左手を棒の中央にもってきて上から下に縦回ししながら、右足、左足、右足と半身
後屈立ちで三歩下がる。
5 上から下に縦回ししながら、右足、左足と半身後屈立ちで二歩前に進み、三歩目の
右足は、斜め前方で右から左への上段横回しに変えて、前屈立ちで前に強く踏み込ん
で、威嚇牽制する。
6 頭上で水平上段回しをしながら、右足、左足と二歩下がり(または、二歩下がり、す
かさず、右足一歩踏み込むと同時に)、前方上段面打ち。
7 縦に棒を半回転まわして、左足一歩踏み込んで半身前屈立ち上段突き。
8 棒をすぐに中段に引き抜いて戻す。
※揆奮館流棒術のこれらの分解形は、沖縄棒術の「徳嶺の棍」の形に、日本古武道の
楊心流棒術等の技法の一部を加え、揆奮館流にさらに改良し、それらを同時に稽古で
きるように組み合わせてある。また、左右の狭い場所でもできるように、演武線は基
本的に前後だけとなるように修正してある。